糖尿病患者に多い下肢閉塞性動脈硬化症は、油断すると足指が黒くなる壊疽を発症し切断に至ることがあります。
しかし、足の血行を良くする方法(マッサージ・薬・保温など)を常時実施すれば壊疽を防ぐことも可能です。
目 次
下肢閉塞性動脈硬化症とは
下肢閉塞性動脈硬化症とは、血管内が石灰化(血管コレステロールの塊とカルシュウムが付着)して狭くなったり閉塞したりする病気です。
これにより足の指などの末端まで血が届きにくくなると酸素や栄養が不足となり、壊疽にもなり易くなるのです。
従って、糖尿病の人はLDLコレステロール値も高い傾向にありますから要注意です。
足の血の流れを良くする方法
下肢閉塞性動脈硬化症になれば手術で改善することは可能ですが、医師に頼り過ぎて何もしないのは問題です。
患者側も血流・血行を良くする努力をして壊疽などにならないようにしなければなりません。
保温グッズの活用
血流を良くするためには、足が冷えないようにふくらはぎや足を保温することも大切です。
強いて言えば一年中無休で保温する必要があり、ふくらはぎや足の保温に適切なグッズを使用しましょう。
以下に私の家内が使用したものを1例として紹介します。
【BSファイン ハイソックス】
これは岩盤浴の天然鉱石を使用して作られたロング靴下、膝のやや上までの長さがあるので保温には有効です。
価格はやや高いですが試してみる価値はあります。
【BSファイン レッグウォーマー】
これも岩盤浴の天然鉱石を使用して作られたもので、膝下から足首までを保温するものです。
夏なんかはこれで充分保温が可能です。
血の流れを良くするマッサージ
足の血行を良くするには、ふくらはぎや足のマッサージ、指のストレッチも有効です。
ふくらはぎは第2の心臓とも言われているのでマッサージを習慣にすれば血流改善に繋がります。
また、指は1本ずつ上下に動かすことで血流が良くなります。
投 薬
血行を良くするため循環器内科医から処方された薬として「リマプロストアルファデクス錠】があります。
ただ、血行を良くする薬は幾つも有り、医師によって処方薬は変わると思います。
下肢閉塞性動脈硬化症の治療法
下肢閉塞性動脈硬化症は上記でも説明しましたが、血管内が石灰化して狭くなっているので根本的に解決するには手術が必要です。
一般的な手術法としては、狭窄した血管にバルーン(風船)カテーテルを挿入して広げたり(バルーン拡張術)、ステントなどを入れて(ステント術)血流を良くする方法です。
また状況によっては人工血管を挿入することもあります。
もう一方、高度な手術として「クロッサーカテーテルシステム」があり、これは石灰化した部分を粉砕・除去する方法です。
但し、このシステムを持ち合わせている病院は限られており、治療部品の供給も遅れがちなので即手術というわけにはいかないようです。
足にできた傷が感染~壊疽の最大の敵
下肢閉塞性動脈硬化症になると血行が悪くなり、足の免疫力も低下し細菌感染の恐れが出てきます。
一番気を付けなければならないことは、足をぶつけたり水虫による傷でありそこから感染することです。
医師はしつこいぐらいに傷には注意するように言っていました。
水虫の予防
足の水虫により少しでも傷が出来ると感染するので免疫性が劣る糖尿病患者においては大敵であり、感染防止のために日々の予防は必須事項です。
足を清潔に保つことが最大の水虫防止となるので、入浴での足洗いやバスマットを清潔にすることで水虫を防げます。
また、外反母趾の人は指同士が接触して水虫になり易いので、包帯を丸め粘着テープで止めて(サック状)指に装着すれば水虫予防になります。
足をぶつけて傷を作らない
足をぶつけて傷を作るのも絶対避けねばなりませんので要注意です。
また、爪を短く切り過ぎないこと、そして巻き爪などにも要注意です。
もし、傷が出来たら皮膚科や形成の治療外科の診察を受けることをお奨めします。
下肢閉塞性動脈硬化症の家内の結果
家内はある日に右足親指をぶつけたのか5mmぐらいの丸い血豆が出来て血豆が黒くなりました。
それと巻き爪もありその影響か2mm幅 x 20mmぐらいの黒い線も出てきて、人工透析の医師は「壊疽」と診断しました。
一方、下肢閉塞性動脈硬化症で治療を受けている循環器内科の医師は「壊疽の一歩手前」と診断し様子見としました。
果たしてどちらが正しいのか?素人の私には判断できませんが、診断後3週間経過も症状は悪化していないので循環器内科の医師の診断が正しかったようです。
毎日実行していることとしては、足の保温・お湯での足洗・包帯サックでの水虫防止などです。
下肢閉塞性動脈硬化症の手術の実施
右足の親指の血豆は壊疽にはならず一歩手前の診断となりましたが、足の血流を改善するためカテーテル手術を実施することになりました。
手術の手法は上記の3種類のどれを用いるかは明確に知らされていませんでしたが、実施したのは一番容易なバルーン拡張術で2拍3日の入院となりました。
血流の悪い部分は太ももから膝まであり、狭窄した血管部分をバルーンで膨らましたのです。
なお膝から下の血流は良好だったとのこと、今回の手術で下肢全体の血行が良くなれば血豆部分の回復も早くなるとの期待もしています。
なお、手術後の検査では血流が良くなったと医師は言っていたので手術は成功だと言えるようです。
カテーテル手術によるABI検査の結果
ABI検査は足と腕の血圧の比をみることで比較的太い動脈の内腔が狭くなっているかどうかを調べる検査です。
ABI正常値:0.91以上、0.90以下:末梢動脈疾患の疑い、0.50以下:狭窄または閉塞性が強い
【家内のABI値】
家内のABI値はカテーテル手術前「0.70」から手術後は「1.04」と一気に正常値まで改善しました。
カテーテル手術による効果は素晴らしいものでした。
血豆に対する担当循環器内科の医師の言動にやや疑問有り
今回のカテーテル手術の決断は、右足親指に5mm程度の血豆が出来た(1月27日)のがきっかけになっており、2月21日に手術が実施されました。
この間に医師は1月31日と2月5日の2回の診察で血豆を観察していたが、治療は一切行わず「経過観察」を選びました。
私たち家族は経過観察による時間の経過で症状が悪化しないのか懸念はありましたが、主治医が経過観察と言ったので他の医師の診察を受けることは出来ませんでした。
ところが21日のカテーテル手術後の診察で血豆に付いては悪化しているので「形成外科」の診察を受けなさいとの指示があり、だとするなら何故もっと早く言わないのかと唖然としたものです。
どうやら血豆治療に付いては循環器内科の専門外のようで何となく専門外は熱心ではなかったと思えます。
このようなケースは糖尿病専門医にも見かけられましたね。
糖尿病専門の医師は血糖値を下げることには熱心でも、合併症(腎臓病→人口透析)予防に対するアドバイスは殆どしないケースがありましたからね。
つまり主治医の心証を悪くしたくないと懸念(遠慮)し、セカンドミニオンなどが遅れると病状が悪化して治療が遅れてしまうことがあるということです。
主治医の意見を無視してセカンドピニオンの診察を受けるとの決断は、素人の私達には非常に難しい判断で遅れがちになるのが殆どではないでしょうか。
これが日本の予防医療の遅れにも繋がり医療費の増大の要因になっていると思います。
さあ、急いで形成外科医の診察治療を受けなければ、手遅れで親指切断に成らなければ良いのですが。
まとめ
下肢閉塞性動脈硬化症は糖尿病の人だけではなく高LDLコレステロールの人も注意しなければならない病気です。
病院には家内と同様に手術をする人も結構いましたから事前予防の大切さを知らされました。
この記事が参考になれば幸いです。
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