在宅医療は通院が困難な患者のため医師や看護師が自宅に訪問して行う医療サービスですが、これを実際に受けて3ヶ月が経過しました。
患者は家内、病気は糖尿病が起因となった難治性足潰瘍、この間に直面した様々な出来事を紹介します。
在宅医療と訪問医療の違いをわかりやすく説明すると
在宅医療に似たのに訪問医療が有りますが、どちらも通院が困難な患者(障害者・他など)への医療サービスで自宅や施設に医師や看護師が訪問して治療を行います。
ただ、若干の違いがあり簡単に記載すると次のようになります。
【在宅医療】
患者側の要請によって自宅に医師・看護師が訪問し治療や処置を行いますが、訪問頻度は症状の状態によって変わる。
家内の場合は、足の潰瘍部分がけっこう大きく症状も変化するので毎日患部の洗浄清潔、軟膏塗布、ガーゼで覆い包帯を巻く作業が必要なので在宅医療の対象となりました。
【訪問医療】
比較的安定した病状であって、医師の治療方針に基づき定期的な訪問診療を行う、訪問頻度は月2回程度になる。
在宅医療を受けるようになった経緯
家内は足の創傷がひどくなり入院治療を続け壊死組織をデブリードマン手術で切除しました。
その後の回復治療は長期の継続が必要であり入院継続も考えましたが、入院はけっこう体力低下などもあるので短期で止めて通院治療を続けることになりました。
しかし、病院が約50kmと離れており通院治療は時間がかり疲労も大きいので、通院2週間毎の間を埋めるために在宅医療を紹介してもらい治療を受けることにしました。
在宅医療の費用は保険適用
今回の在宅医療で医師が訪問する日は土曜日と日曜日と決め、平日の医療処置は訪問看護師にお願いする事にしました。
これで掛かる費用は、医療診察と処置に掛かる医療行為及び薬は医療費、それから衛生材料(病院から支給される物は医療費に含む)で病院が支給しない物は自己負担となります。
医療費は医療保険適用
医師の診断・処置、訪問看護師の医療処置及び薬は、医療行為であり医療費とみなされ医療保険が適用されます。
医療保険は国民健康保険など種々あり、それぞれの個人負担の割合で医療費を支払うことになります。
従って、患者の負担割合(1割・2割・3割・マル福)によって自己負担額が決まります。
【実際に掛かった医療費(保険的部分)の事例】
家内の場合は、潰瘍が広く症状も重い状態なので毎日の消毒洗浄、ヨード系の軟膏やガーゼ等の患部保護が必要です。
従って、週2回の医師の診察・治療、それ以外の日は訪問看護師による医療処置をお願いしています。
以上から、医師及び訪問看護師の医療費=「医師の治療費+訪問看護師の処置費」となり、1ヶ月の総計医療費は概ね32万円かかりましたので1割の個人負担で約3万2千円/月となりました。
但し、このケースは重症患者で医師及び看護師の自宅訪問回数が最大なので、もっと軽症であれば1/5以下で収まるのではないかと思います。
在宅医療による薬代(保険適用)と薬剤師
在宅クリニックより処方される薬代は、一般の病院と同じように保険適用で負担割合によって個人負担となります。
我が家の場合は、軟膏、痛み止め、その他となります。
なお、薬は院外処方で家族が受け取りに行くか、薬局と契約して届けてもらうかの選択になり、届けてもらうのは楽ですが割高になるので受け取りに行く方法を選びました。
なお、在宅医療を専門としているクリニックには薬剤師がいないことが多く、近くの薬局の薬剤師と連携して薬の処方・相性チェックなどを行っているようです。
我が家の在宅医療における衛生材料の自己負担の実態
家内の医療処置で使う衛生材料は、ガーゼ、テープ、包帯、洗剤、水、キッチンペーパー、防水シート、軟膏塗布用のヘラなど数多くあります。
この中で病院側が支給する衛生材料は、我が家の場合はガーゼ・テープ・ヘラのみで他は全て自己負担で準備しています。
ガーゼ、テープ、へらの3種類は完全支給で明確ですが、明らかに衛生材料である包帯が支給されないのは疑問に感じています。
また、包帯を洗って使えと言われておりますが、これもどうなんでしょうかね。
厚生労働省の通知によると包帯、ガーゼ、絆創膏などの衛生材料は「通常使用される材料」として、処置料の中に含まれるとされています。
が、包帯が支給されないのは病院側の解釈の違いなんでしょうか?
まあ、こんなところで病院側と喧嘩したくないので負担しましたがね。
これら衛生材料の負担額は月当たり数千円になります。
在宅医療で後悔?不備・不満など
私どもが在宅医療を受けるのは今回が初めてであり、それ故に幾つかの問題に直面し戸惑いがありました。
在宅医療における私たちの最たる目標は、足の潰瘍の医療処置(前日処置した軟膏の水洗い除去、ソープでの汚れ落とし、水でソープ除去、水分除去、ポピドンヨード軟膏による殺菌・消毒、ガーゼでの保護、包帯止めなど)を的確に行ってもらい感染の予防と潰瘍部分の修復・治癒なのです。
実際に直面した不備・不満
契約した在宅クリニックは、医師数名(非常勤含む)、看護師数名で多くの患者の巡回治療をしているようです。
我が家での在宅医療の頻度は土曜日と日曜日の週2回、医師が看護師(医師も看護師もその都度変わる)を伴い治療に来てくれますが、印象としては潰瘍処置の経験が乏しいものと思いました。
家内の場合は人工透析も行っており、健康な人と比べれば免疫力も低いので創傷部の感染が起きやすいので衛生面には充分な配慮が必要です。
それ故、足の洗浄は湯水での事前洗い、ソープ洗い、ソープ洗い落とし、水分除去は念入りにして、それから患部への感染予防軟膏を的確に塗布することが必要です。
しかし、在宅医療の方々は時間に追われているせいか、経験不足かは判断できませんが、これら一連の作業手順がバラバラで、しかも衛生手袋も湯水やソープ泡で濡れたものを使い続けるので大丈夫かな疑問を持っています。
これについては、全部ではありませんが一部指摘して修正してもらいましたが、まだ十分ではないと思っています。
一方、平日の訪問看護師(5日/週)は、地元の大病院に勤めた経験が有り知識も豊富で潰瘍の処置も的確に行ってくれています。
【不備・不満まとめ】
・クリニックの医師・看護師の潰瘍部分の洗浄・消毒・滅菌処置が粗雑であった
課題:あまりにも酷い場合は指摘しますが、全般的には不十分
・衛生意識が欠如している医師・看護師がいて医療用手袋に水やソープ泡が付いたまま
患部の治療処置を続けている
・衛生材料(ガーゼ・テープ・ヘラ)の支給がギリギリで途切れることもあった
対策:週1回ごとに支給を要請して改善してもらった。
・訪問時間がまちまちで昼食時間帯になることもあった
対策:こちらの昼食時間帯を提示して避けるように依頼
総合評価として依頼している在宅クリニックの土・日曜日は、訪問患者が結構多いようで急ぎ働きの感じがしました。
数名の医師につては、治療効果のある薬や衛生材料の紹介・提案をしてくれる方もいますが、残念ながら家内の病状が専門外の医師もおられ不満に思うこともあります。
まとめ
重症に相当する足の創傷部の治療処置を中心に在宅医療を3ヶ月受け様々な体験をしました。
お陰で患部の状態は完治はしていませんが、改善が進んでおり在宅医療を受けて良かったとの思いをしています。
ただ、一般の病院とは違う幾つかの問題や不満(上記に記載)に遭遇したのも事実であり、話し合いで解決したものもありますが、言いにくい問題(衛生面や医師の専門知識)が残っています。
でも、これはある一つの実例であり全てを表すものではありません。ご承知おきください。