糖尿病が悪化すると幾つかの合併症(神経障害、網膜症、腎症など)を発症しますが、その中で最も恐ろしいのは「糖尿病性腎症」だと思います。
その理由は、神経障害と網膜症で命を縮めることは殆どありませんが、腎蔵の濾過機能を損傷する腎症は治すのが難しく人工透析に入り寿命が縮まることが多いからです。
目 次
糖尿性腎症が恐ろしい理由
糖尿病は悪化すると糖尿病性細小血管症という細い血管を損傷していくのが特徴です。
これは足の指先などの細い血管を損傷する神経障害(壊疽などを発症)、目の細い血管を損傷する網膜症、そして腎臓の濾過装置である糸球体に多い細い血管が損傷される腎症などを発症させます。
不幸にして神経障害で壊疽になっても網膜症になっても手術で進行を止められますが、腎症になると殆ど進行は止められず「人工透析治療」に至ることが多いのです。
人工透析は最低でも週3回の治療(3~4h/回)が必要であり生涯続けなければならず、治療を止めることはできません。
私が腎症が最も恐ろしいと敢えて言うのは、透析時の注射の痛み、食事療法の継続、かゆみ・倦怠感などの症状、正月もお盆休みも関係なく治療に通う労苦、福祉制度はあるが膨大な治療費(殆どは健康保険負担)などが生涯続くからなのです。
つまり患者にとっても健康保険財政にとっても腎症は大きな負担になります。
残念ながら私の家内は、これら全てを経験し今も人工透析治療を続けていますが、徐々に疲労度が増えてきて排尿の量も減ってきています。
従って、糖尿病は軽度の内に治療を開始して腎臓を悪化させないように気をつけなければなりません。
糖尿病の三大合併症と症状など
糖尿病では神経障害、網膜症、腎症を三大合併症と言っています。
この中で早目に発症するのが神経障害(壊疽)と網膜症で、これらは自覚症状があるので早目に治療を開始すれば防止することが出来ます。
壊疽が発症しやすいのは足の指先と踵であり、血流が悪いと冷えて痛みも出るので早目に対処すれば壊疽を防げます。
網膜症はテレビなどが見えにくくなり始めるので白内障と間違えやすいのですが、糖尿病の初期の人は白内障と決めつけず医師の診断を受ければ防ぐことが可能です。
腎症は殆ど自覚症状がないので糖尿病の人は、意識的に注意しなければなりません。
私は家内が糖尿病の合併症で「壊疽」になり足を切断し、更に網膜症で目の手術をしたにも関わらず腎症には気が回りませんでした。
足の切断をした時のクレアチニン値は「1.27mg/dl」で基準を少しオーバーしていましたが、糖尿病専門医から腎症への注意喚起がなく、私も気が付きませんでした。
その後、糖尿病の専門医(地域の総合病院から開業した医師)をかかりつけ医として選び治療を継続していました。
そして、かかりつけ医の治療を受けて10ヶ月後に「胸が苦しくて息苦しい」と言い始めたので、別の病院で診察を受けたら「肺に水が溜まっている」これは腎症(この時のクレアチニンは2.54mg/dl)の影響であると診断され、一時的に入院して治療を受けることになりました。
このことをかかりつけ医に話したら腎臓がそんなに悪くなっているとは思わなかったとコメント。
糖尿の専門医が三大合併症の腎症に気を配らなかったことに唖然としました。
腎症を悪化させず人工透析を回避できる医師は殆どいない!
糖尿専門のかかりつけ医を辞めて腎臓病を治療できる病院に転移した時、腎症と診断した新たな担当医は「約半年後には人工透析が必要になるだろう」と言っていました。
この時のクレアチニン値は2.54でしたが、人工透析を回避するように頑張ろうとはいっさい言わなかったので、この点では人工透析回避はギブアップだったと思います。
つまり日本の殆どの腎臓病の医師は、人工透析を回避するための治療技術は持ち合わせしていないと思われます。
唯一あるとすれば腎臓移植ですが、日本の腎臓移植は欧米などと比べ極端に少なく、特に高齢者には敷居が高いといえます。
そして、嫌な見方をすれば人工透析には膨大な治療費がかかりますから、これに関わる医療関係者は既得権益的にも人工透析回避には積極的になれないのかも。
人工透析回避のために取り組んでいる医師はいないのか?
家内の糖尿病治療に関わった医師は3人、腎臓治療が医師が2人と計5人の医師が治療をしてくれましたが、一人として「人工透析にならないよう頑張ろう」と言ってくれた医師はいませんでした。
以上から人工透析は避けたいと思いながらも仕方がないのかなと思っていました。
しかし、今は何が何でも人工透析を回避させようと強い意思を持って治療をしてくれる医師は殆どいないことが分かったのです。
その根底には膨大な人工透析治療費(日本全体で約2兆円)に関わっているからとも思えます。
つまり人工透析を回避しようと努力しても、医療業界にメリットもないし膨大な医療費を失うだけです。
でも、この状態が続けば健康保険の財政は厳しくなるばかりですね。
今は、このようなことを時々考えながら早い段階で腎症防止に気が回らなかったことを悔やんでいます。
本当に人工透析を回避できる治療法はないのか?
実は研究している医師はいますが、まだ一般化した治療には至っていないようです。
興味のある方は地道に医療機関を調べてアンテナをはっていくしか今はないようです。
まとめ
この記事を書いたのは、私たち家族と同じ轍を踏まないように思うからです。
糖尿病は治療が遅れると合併症を発症し、最悪は腎臓を損傷して人工透析まっしぐらとなります。
本来は糖尿病の初期の段階で治療を開始して、腎臓病を発症しないように食事などに細心の注意を払わねければなりませんが、医師が必ずしも注意喚起してくれるとは限らないので、自分自身・家族で真剣に取り組まなければならないのです。
私の家内は5人の糖尿病・腎臓病医師の治療を受けましたが、一人も腎臓病への注意喚起・人工透析回避への話しが無かったので、これが今の日本の現状ではないかと思います。
でも、まだ間に合う方はおられるかも!
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